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かづきれいこさんのリハビリメイク かづきれいこさんのリハビリメイク

かづきれいこ

フェイシャルセラピスト、歯学博士、REIKO KAZKI主宰、公益社団法人 顔と心と体研究会理事長
1952年生まれ。生まれつき心臓に穴が開いていたため、冬になると“顔が真っ赤”になる悩みを持っていたが、30歳の時に手術を行い、完治。それを機にメイクを学び、活動を開始。老人ホームなどへのメイクボランティアにも力を注ぐ。メイクを通じて、女性の心理を追究。また、医療機関と連携し、傷痕や熱傷痕などのカバーや、それにともなう心のケアを行なう『リハビリメイク』の第一人者。リハビリメイクを通じて、多くの人が抱える「顔」の問題に、メンタルな面からも取り組むフェイシャルセラピストでもある。
1989年ボランティア精神・社会貢献の考えのもと、有限会社かづきれいこ(REIKO KAZKI)を設立し、後進の育成にも力を注ぐ。外観の悩みを研究し、学会発表・研究調査を行い、メイクアップの価値向上に尽力。テレビや雑誌、講演会などでも広く活躍している。

・日本医科大学形成外科学教室 非常勤講師
・順天堂大学大学院医学研究科 協力研究員
・大阪大学歯学部 招聘教員
・新潟大学医学部 非常勤講師
・新潟大学歯学部 非常勤講師
・新潟大学教育・学生支援機構 非常勤講師
・広島大学歯学部 非常勤講師
・広島大学大学院医歯薬保健学研究科 客員教授
・佐賀女子短期大学 客員教授
・大阪河﨑リハビリテーション大学 客員教授

最終更新日:2017年10月19日 GZJP.THYR.17.09.0420
第1回 外観に悩む患者さんの社会復帰を助けるリハビリメイク 第1回 外観に悩む患者さんの社会復帰を助けるリハビリメイク

リハビリメイクは、あざや傷痕の部分だけにメイクを行なうものではありません。患者さんの顔全体のバランスを見て、それぞれの個性に合わせてチャームポイントを引き出すように仕上げます。こうすることで、傷痕にとらわれず、自身を受け入れることができるようになるのです。
今回は、リハビリメイクを考案したきっかけと医療領域における役割についてうかがいます。

「普通の肌色になりたい」、その想いがリハビリメイク考案のきっかけに 「普通の肌色になりたい」、その想いがリハビリメイク考案のきっかけに

リハビリメイク考案のきっかけについて教えてください。

かづきさん:私は生まれつき心臓に穴が開いており、冬になり寒くなると、顔が真っ赤になることに悩んでいました。幼い頃は、そのことでからかわれたり、いじめられたりすることがありました。思春期になると、「みんなと同じように普通の肌色になりたい」という思いから、母親のファンデーションを薄く塗って登校したことがありました。そうすることで気持ちが落ち着き、楽になったのです。しかし、教師からはメイクを落とすようにと、注意をされました。私はただみんなと同じ肌色になりたいだけだったのに。

30歳の時に心臓の手術を受け、完治した時、「心臓が治った」ことよりも「顔が赤くならなくなった」ことのほうが嬉しかったことを覚えています。それを期に、「メイクの勉強をしたい」と強く思い、美容学校に通い勉強をはじめました。しかし、そこには自分の求めるものはありませんでした。そこで、美容学校を卒業後、独学で学び、カルチャースクールの講師として一般の方へメイクを教える傍ら、顔のあざや傷をカバーするメイクについて勉強しました。かつての私のように外観に悩む患者さんの力になりたい、その強い想いがリハビリメイクへと繋がったのです。

“リハビリメイク”の名称の由来について教えてください。

かづきさん:25年以上も前、私の主宰するメイクサロンに、顔に熱傷の痕のある16歳の少女を連れた看護師さんがやってきました。少女は全身熱傷で、数度の手術を終え、退院を控えて運動機能のリハビリを行なっている最中だということでした。看護師さんは私に言いました。「この子の体のリハビリはもうすぐ終わります。でも、それで退院させて良いのでしょうか。私にはそうは思えません。これまでとは違った外観で、彼女の生活が始まります。少しでも早く日常生活に戻れるように、彼女には体だけでなく、外観のリハビリが必要だと思うのです。」看護師さんは、退院する前に、その少女にメイクを学ばせたいのだと言いました。顔の熱傷の痕が少しでも気にならないようにカバーするテクニックを身につけることは、本人の社会復帰のためのリハビリに他ならない、と言うのです。私が怪我や病気などによって外観に悩みを持った方ためのメイクを“リハビリメイク”と名付けたのは、この時の看護師さんの言葉がもとになっています。

リハビリメイクの特徴について教えてください。

かづきさん:リハビリメイクは傷のある部分のみにメイクを行なうものではなく、全体のバランスを見ながら行ないます。例えば、傷が手や足、体の場合でも、同時に顔のメイクを行なうことがあります。これは、傷のある部分のみを隠すと、「隠すべきもの」、「他人に見られてはならないもの」という意識が生じることがあるからです。また、それぞれの個性に合わせてチャームポイントを引き出すように仕上げると、傷にとらわれなくなり、あらゆる受容につながります1)。さらに、リハビリメイクは特別な化粧品を使用せず、一般の化粧品を用います。嫌ならすぐ落とし、やり直すことができます。性別や年齢を問わずに行なうことができることも特徴のひとつです。「しみ、しわ、たるみなどが出始める30歳を過ぎたら、みんなリハビリメイク」と私はいつも言っています。

外観に悩む患者さんの社会復帰を目指すリハビリメイク 外観に悩む患者さんの社会復帰を目指すリハビリメイク

医療現場でのリハビリメイクの目的について教えてください。

かづきさん:リハビリメイクは、外観に悩みを抱える患者さんがご自身の傷痕などを受け入れて、社会に踏み出す、あるいは社会に復帰することを目指すものです。体に傷のある患者さんがリハビリテーションにより、身体機能が回復し、社会に復帰することと同じように、外観に悩む患者さんにもリハビリテーションが必要なのです。実際に、リハビリメイクは様々な疾患領域で行なわれています2)

1)かづきれいこ:PEPARS. 24:62-67.2008
2)https://www.kazki.co.jp/rehabilimake/

専門領域 疾患名
精神科 双極性障害、神経症、更年期障害、摂食障害、身体醜形障害、自傷行為、ドメスティックバイオレンス、PSSD(Post-Surgical Stress Disorder:手術後ストレス障害)
形成外科 瘢痕(熱傷後瘢痕、外傷後瘢痕、術後瘢痕など)、血管腫・母斑(単純性血管腫、太田母斑など)、母斑症(プリングル病、神経線維腫症Ⅰ型など)、口唇裂、口蓋裂、陳旧性顔面神経麻痺、眼瞼下垂
歯科・
口腔外科・
頭頸部外科
口唇裂、口蓋裂、審美歯科、下顎前突、顔の変形、頭頸部手術後瘢痕
美容外科 ざ瘡、ざ瘡痕、色素性病変、アンチエイジング全般(たるみ、しわ、しみ、毛穴の開き)、下顎角の張り、美容治療後のダウンタイム軽減(ケミカルピーリング、レーザー)
皮膚科 アトピー性皮膚炎、ざ瘡、膠原病による皮膚症状、母斑、白斑、色素性病変、魚鱗癬
内科 膠原病、腎不全(透析)による様々な皮膚症状
婦人科 更年期障害、がん治療に伴う副作用(脱毛、くすみ)に対するQOL向上
眼科 眼瞼下垂、眼瞼痙攣、眼瞼内反

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最終更新日:2017年10月19日 GZJP.THYR.17.09.0420
第2回 甲状腺がんの手術痕を目立たなくするメイク 第2回 甲状腺がんの手術痕を目立たなくするメイク

リハビリメイクは、普段使っている化粧品で簡単に行なうことができます。

甲状腺がんの手術痕は首の中央につくため、手術を受けられた患者さんの中には、スカーフを巻くなどの工夫をしている方もいます。ときには「隠す」から「見せる」メイクで、気分転換してみませんか?メイク前とメイク後では、ご覧のように、ほとんど傷痕が目立たなくなります。今回はその手順をご紹介します。


メイク前


メイク後

第3回 メイクで明るい気持ちに 第3回 メイクで明るい気持ちに

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最終更新日:2017年11月9日 GZJP.THYR.17.09.0420
第3回 メイクで明るい気持ちに 第3回 メイクで明るい気持ちに

リハビリメイクは、外観の傷を目立たなくするだけでなく、心にも変化をあたえます。リハビリメイクを必要とする目的や性別、年齢が異なっていても、メイク後に多くの患者さんが元気になるのはなぜでしょう?

今回は、リハビリメイクがどのように患者さんの心に影響するのかについてうかがいます。

患者さんの心を開放するリハビリメイク 患者さんの心を開放するリハビリメイク

リハビリメイクは患者さんにどのような心理的変化をもたらしているのでしょうか。

かづきさん:メイクの歴史は古く、卑弥呼の時代にまでさかのぼります。そこから現在に至るまで、女性にとって前向きになれるツールのひとつとして、その役割を果たしてきました。リハビリメイクに来られる患者さんの中には、顔の傷やしみ、あざなど、外観に悩みを抱える方々が多くいらっしゃいます。その理由、性別、年齢が異なっていても、メイク後に患者さんは「より普通の肌」に近づくことで、目の輝きが変わり、コミュニケーションにも変化があらわれます。メイク前にはうつむきながら、「はい」としか言わなかった患者さんの表情が明るくなり、急に活き活きとご自身のことを語り出すことも少なくありません。今まで感性で行うことの多かったメイクですが、リハビリメイクでは、方程式を作り、その通り行なうことで、誰もがご自身で実践できるものとして確立しました。ご自身に満足いただけるメイクには、患者さんの気持ちを楽にする力があると考えています。

リハビリメイクに求めるものは患者さんごとに異なる リハビリメイクに求めるものは患者さんごとに異なる

患者さんの満足度はどのように評価されているのですか。

かづきさん:メイクは落とせば元に戻ります。そこで、ご本人が喜びを感じてくださったことを客観的に伝えるために、と考えたのが、Visual Analog Scale (VAS)※1やWorld Health Organization Quality of Life 26 (WHO QOL 26)※2というスケールの活用でした。ご自身の満足度を数値化、視覚化できるため、非常に有効な方法であると考えています。リハビリメイクは、毎回、同じ化粧品、同じ方法で行ないます。従って、データを取ることも可能なのです。また、傷が大きいから悩みが深い、逆に小さいからたいしたことはない、というのは大きな間違いです。悩みの程度は周囲には推し量ることのできないものだからです。ご自身の主観的な評価(満足度)がとても大事なのです。当然、好みや生活環境によって、患者さんごとに「メイクでカバーして欲しい程度」も異なりますよね。メイクを行なう前にしっかりと患者さんに向き合うことが、満足いただくためには必要です。

※1 VAS:痛みや患者さんの治療に対する満足度などの評価に用いられる方法です。例えば、痛みの評価では、「0」を「痛みなし」とし「100」を「最も強い痛み」として、現在の状況が10cmの直線上のどの位置にあるかを示すものです。

※2 WHO QOL 26:患者さんの幸福度や生活の質の評価に用いられる方法です。身体的領域、心理的領域、社会的関係、環境領域の4領域のQOLを問う24項目と、QOL全体を問う2項目の、全26項目から構成されています。

「顔と心と体」は繋がっている 「顔と心と体」は繋がっている

リハビリメイク後の患者さんの反応や変化について教えてください。

かづきさん:リハビリメイクで満足度があがることで、患者さんの多くは積極的になり、表情も明るくなります。その結果、社会とのかかわり方にも変化があらわれ、行動までも変わってくるのです。患者さんの中には「この傷も自分の一部だから気にならなくなった」と、必要な時にしかメイクをしなくなった方もいます。顔が元気になると気持ちが明るくなり、人に会いたくなる。そう、「顔と心と体」は繋がっているのです。気持ちが前向きになることで、治療に前向きになったという方もいらっしゃいます。これらの経験から、リハビリメイクは、患者さんの生活の質(Quality of Life:QOL)を高め、自信と希望を持ってその後の人生を歩む大きな一助になると考えています。外観に悩む患者さんだけでなく、より多くの女性にメイクをうまく取り入れていただき、活き活きとした毎日を送っていただきたいと思っています。

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第4回 リハビリメイクのこれから 第4回 リハビリメイクのこれから

現在、一部の大学病院や個人クリニックの外来でもリハビリメイクを受けることができます。これはリハビリメイクの重要性が認知され始めているからです。傷の治療だけではなく、リハビリメイクによる外観の改善に対する評価が治療評価のひとつとして取り入れられれば、より良い効果が得られるようになるかもしれません。

今回は、リハビリメイクの今後の展望についてうかがいます。

リハビリメイク前のコミュニケーションを重視 リハビリメイク前のコミュニケーションを重視

リハビリメイクを行う上で、大切にしていることは何でしょうか。

かづきさん:まず、メイクをさせていただく前に、その方の悩みを聞くことに重点を置いています。患者さんの多くは、初回は心にバリアを張っていることが多いのです。お話をしていく中で、そのバリアをひとつずつ取っていくことから始めます。患者さんが抱えている問題だけではなく、ご家庭や学校の環境、健康や趣味などの話をうかがいながら、その方により適したメイクをご提案させていただきます。

リハビリメイクの確立を目指して リハビリメイクの確立を目指して

リハビリメイクの将来展望についてお聞かせください。

かづきさん:リハビリメイクを必要としてくれる方は全国にいらっしゃいます。各地でセミナーや講演会、メイクレッスンを行なわせていただいておりますが、私一人では限界があります。ひとりでも多くの方のお役に立つためには人材育成が急務です。そのために、現在、私が理事長を務める公益社団法人顔と体の研究会にて、検定制度を確立する準備を行なっています。確かな知識と技術を持った後進の育成を目指したいと考えています。 また、リハビリメイクの存在を患者さんだけではなく、多忙な医師や看護師さん、作業療法士さんなどにも知っていただきたいと考えています。医療従事者は、それぞれが重要な役割と日々向き合っています。多忙な日々の中で患者さんへの完全なフォローは難しい、というのが現状です。そのような時に、「ここはリハビリメイクで対応してもらおう」という選択肢がひとつ加われば、治療の優先順位も変わってくると思うのです。

患者さんの笑顔のために、これからも頑張っていきたいと思います。

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